夜・文章講座について2009/07/07 17:25

夜・文章講座の課題について、前回のブログ記事に加筆修正したものを以下にあらためて掲載します。

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夜・文章講座―ストーリーテリングの動性を仕込む/講師 葉山郁生(作家)

第3回 7月27日(月)午後6時30分~

~最小の人間関係づくりのため、家族の原形を問う~

教材=戦後短篇小説再発見④『漂流する家族』(講談社文芸文庫)から中村真一郎、増田みず子、津島佑子、尾辻克彦の作品

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課題=対の人物(主人公)と人物(ホームズに対するワトソン的人物やアバター・化身)、対の人物と事物(人形など移行対象)の設定で軽いエッセイ・小説の一節を書く

上の第三課題の具体例として、
(1)亡くなっている肉親、または兄弟姉妹か友人と、ある事象・出来事をめぐって、会話中心に対話する。
(2)過去の自分(ライフ・サイクルにおいて、一度、死んだ者として)と、現在の自分が同じように対話する。
(3)対人物(ホームズとワトソン、ドン・キホーテとサンチョ・パンサ)で同じように対話する。
(4)以上は人と人との対話ですが、それ以外に人と動植物、または人形が同じように対話する。

「夢十夜」第一話の語り手の視点は、女が死者で、死をこえて百合となって主人公の前に再出現します。語り手は虚実と人間をこえ、生死をこえた存在の広がりの中にいます。この第三課題も、(3)以外はそうで、変性意識ないし幻想の場にいることになり、日常が非現実に動く場面のモンタージュともなります。第三課題を書くにあたって、第一、第二課題も取りこんで書いていただいてもいい、と思っています。
 第二回目の日に参考資料として配った創作作品のうち、「からくりからくさ」は、祖母の死を契機に人形が喋ったり、喋らなくなったりしますから、先の例の(1)と(4)、「ペンを取る」は(4)、「僕と点滅する僕」は(2)の例にあたります。
 もし死者と対話するという文学時空間などにリアルなものを感じられない、という方は、同じ死のテーマを、死者からみて生き残っている生の側の人物どうしで語るような、リアルな別の仮構に置きかえて書いていただいても結構です。(葉山)

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●教材作品は読んでおいてください。
●課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の5日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)