金時鐘さんの“昼・詩の連続講座”に38名参加2009/11/21 17:23

昼・詩の連続講座
金時鐘さんが、『樹林』12月(在校生作品特集)号の詩部門の掲載作4編および応募作40編について講評しました。参加者38名から、感想・意見を求めながら、相変わらずの迫力と熱弁でした。講座のあと、金さんや講座にずっと参加していた夜間部・松本衆司チューターなど“すかんぽ”へ。
次回の金さんの講座は、明年1月30日(土)午後3時から。
実作演習で、課題(「生命」または「人生」)にそくした30行以内の詩作品を募ります。講座参加希望者は、1月20日までに、文学学校事務局まで送ってください。文校生でなくても、誰でも参加できます。ただし、一般の方の参加費は、1500円。
(小原)

窓ガラス取り替え2009/11/24 21:18

窓ガラスの取替え作業
業者に頼んで、一畳ほどもある針金入りの分厚い窓ガラスを取り替えてもらいました。ヒビの入っていた事務局内2枚、図書室内1枚を替えました。〆て22万円也。
現在、文校の入っている新谷町第1ビルは外壁のタイル改修工事中で、ビルをぐるりと足場が囲んでいるのです。その足場があるうちにということで急きょ、きょうの取り替え工事となりました。
タイル改修工事は、12月2日に完了の予定です。
(小原)

11月28日(土)・小野十三郎賞贈呈式2009/11/25 19:59

今年の第11回小野十三郎賞は、本賞は該当作なしでしたが、特別奨励賞がお二人に贈られます。
東京都狛江市の岡島弘子さんの詩集『野川』と、大阪府茨木市の山口春樹さんの詩集『象牙の塔の人々』に対して。
贈呈式は例年、朝日新聞社で行なっていましたが、今年は大阪文学学校で午後2時から行ないます。選考経過報告のあと、お二人へ賞の授与が行なわれます。
そのご、小野賞選考委員の倉橋健一さんと坪内稔典さんの対談があります。題して、「今回の小野賞と詩の現在」。
懇親パーティーは、場所を代えて、すぐ近くのレストラン“門”で行ないます。こちらの参加費は3千円。

秋の新入生・在校生の皆さん、ぜひ参加してください。
一般の方の参加も歓迎します。
(小原)

11月28日・小野賞贈呈式のご案内2009/11/26 22:24

大阪文学学校の運営母体である社団法人・大阪文学協会は一九九九年春、関西はもとより各地から各界二十名の創設発起人の方々のご賛同とご協力、大阪府と大阪市の後援、朝日新聞社の共催をいただいて、小野十三郎賞を創設しました。05年度からは桃谷容子基金からの後援をいただくことができました。

7月10日をもって締め切った、今年度の第11回小野十三郎賞には、全国各地から、詩集、詩評論書あわせて133冊をお寄せいただきました。
二次にわたる予備選考を慎重にすすめました。そのうえで、9月25日午後1時から大阪市内において、金時鐘、倉橋健一、辻井喬、坪内稔典の四委員の出席のもとに、最終選考会を開きました。
最終候補13冊について三時間におよぶ討議の結果、はじめて本賞該当作なしとなりました。そのうえで、岡島弘子さん(東京都狛江市)の詩集『野川』(思潮社)、山口春樹さん(大阪府茨木市)の詩集『象牙の塔の人々』(澪標)に特別奨励賞を贈ることを決定しました。

第11回贈呈式を、以下のような式次第で、11月28日(土)午後2時より大阪市中央区谷町7丁目の大阪文学学校にて開催します。
お忙しいと存じますが、皆様のご参席を心よりお待ち申しあげます。

社団法人・大阪文学協会〈小野十三郎賞実行委員会〉
代表・長谷川龍生


《第一部》贈呈式……(一時間)

一、開会挨拶

一、選考委員紹介
一、選考経過報告
一、第11 回小野十三郎賞特別奨励賞 授与

   岡島弘子 『野川』
   山口春樹 『象牙の塔の人々』

一、受賞者挨拶

一、主催・大阪文学協会挨拶
一、共催・朝日新聞社挨拶
一、後援団体挨拶

《第二部》……(四十五分)

対談 倉橋健一×坪内稔典
「今回の小野賞と詩の現在」

《第三部》懇親パーティー(会費・三千円)……(一時間三十分)

  地下鉄谷町6丁目駅上、レストラン『門』にて

一、団体/来賓挨拶
一、乾杯
一、懇談

一、閉会の辞

小学生2人の職場訪問がありました。2009/11/27 17:39

職場見学の2人
朝10時、西宮市立津門小学校6年生2人(やまおかくん、みうらくん。保護者同伴)が、同校6年の“総合学習「未来を描く~夢に向かって~」”のフィールドワークの一環として、文校を訪ねてきてくれました。
2人の将来の夢は、小説家になることだそうです。
その理由を、事前に原稿用紙に書いてきてもらいました。その一部をばっすいすると、「自分で小説を試しにかいてみたらとても楽しくて、もっと自分オリジナルの小説をかいてみたいと思った」(やまおかくん)、「冒険物語が好きなので、小説家になったら、主に冒険物語を書いていきたい」(みうらくん)とのことでした。
夢の“原点”をおしえられた思いでした。
それから、「小説家の仕事内容は?」「小説を書く手順は?」「新人賞とは?」など矢継ぎ早の質問をうけました。
最後に、「大人になるまでに小説家になれていなかったら、文学学校にまた来てね」と、2人を送り出しました。
(小原)

第11回小野十三郎賞贈呈式おこなわれる。2009/11/28 16:03

受賞者のお二人
第11回小野賞の贈呈式が、大阪文学学校において、午後2時から4時まで、60数名の出席でおこなわれました。
特別奨励賞を受賞した岡島弘子と山口春樹さんさんにそれぞれ、賞状と賞金20万円が贈られました。岡島さんの賞状の文面は坪内稔典が、山口さんの賞状は金時鐘さんがしたためた二枚とはないものでした。
そのあと、主催者の大阪文学協会(文校の運営母体)の高畠寛代表理事、共催の朝日新聞社の近藤順子生活文化エディター、桃谷容子基金の以倉紘平さんから挨拶がありました。
第2部では、倉橋健一さんを中心にして、「今回の小野賞と詩の現在」について座談会がありました。

4時すぎからは、場を代えて、懇親パティーです。
(小原)

次回の夜・文章講座について。2009/11/30 18:49

夜・文章講座―ストーリーテリングの動性を仕込むⅡ/講師 葉山郁生(作家)
■第2回 1月18日(月)午後6時30分~

○関係性の網の目、人と人・人と物の出し入れの技法
○教材=『それから』十一章以下(新潮文庫他)

    *    *    *

課題=二場面(または三場面)で主人公(私または彼、彼女)と他の人物の三角関係を進展してください。【注・当初の課題から変更されています】

第一回目の教材「蹴りたい背中」の一節を参考例とします。この一節で、前半の主人公「私」(ハツ、女子高生)と友人、絹代の会話が始まり、後半にもその形式が続きますが、前半と後半で、主人公「私」の二つの人間関係が重ねられています。

    *    *

 靴を履くと、彼は伏し目のまま立ち上がり、後ろから出口を目指してなだれ込んでくる生徒たちに押し出されるようにして体育館から出て行った。
「今のって、にな川だよね」
 背後から突然声をかけられて驚いて振り向くと、興味津々な顔をした絹代がいた。

「結局、あいつの家には行ったの?」
「うん」
「えっ、じゃあ告白でもされた?」
 さっきあんなにふて腐れた態度をとった私に、またすぐこうやって人なつこく話しかけてくる絹代を、好きだな、と感じる。
「全然。私さ、中学の頃に女のモデルに会ったことがあるんだけどさ、」
「あー、昔言ってたよね。なんかの店で会ったんでしょ?」
「そう。で、にな川はそのモデルのファンだったらしく、どこで会ったか教えてくれって」
「うん?! どこで会ったか、って、その昔会った場所に行っても、もちろん、もうその人はいないんでしょ?」
「うん」
「やだ、相当なオタクだね~」
「……うん」
 言わない方がよかったかもしれない。絹代はにな川を馬鹿にしてふれ回るような子じゃないから、そこは心配ないんだけど、オリチャンのことは私とにな川の二人だけのことだったのに。


「絹代はどうなの」
「何が?」
「あのグループとずっとやってくつもりなの? あの子たち全員、もう変なあだ名つけられてるでしょ。見た目が個性的だと、あだ名もつけやすいみたいだね」
 どうして私から離れたの? なんていう、飾らない質問を素直に聞く勇気が出ない。嫌味なことを言う方が簡単だから、いつもそっちに逃げてしまう。
「あだ名のことは言わないで。みんな、気にしてるんだから」
「かばうね」
「仲間だもん」
 仲間という言葉はわさびみたいに鼻にツンときた。ツンを吹き飛ばすように、鼻を鳴らして笑った。
「私は中学でもうこりごり。仲間とかは」
「極端すぎるんだよ、ハツは。グループと深く関わらなくても、とりあえず一緒にいればいいじゃない」
「それすら、できないんだよね。中学での我慢が、たまりにたまって一気に爆発した結果かな」
「我慢、って言っちゃうんだ、私らの時間を」
 絹代がさびしげに呟いたので、慌ててつけ加えた。
「絹代は笑ったり話盛り上げたりして、しゃべってくれてたから、私は何も我慢なんかしてなかったよ。でも同じグループの他の子、よっちゃんとか安田さんとかはさ、いつも押し黙ってて、眠そうに人の話を聞くばっかりだったでしょ、あれはきつかった」
 話のネタのために毎日を生きているみたいだった。とにかく〝しーん〟が怖くて、ボートに浸水してくる冷たい沈黙の水を、つまらない日常の報告で埋めるのに死に物狂いだった。指のここ怪我した、昨日見たテレビおもしろかった、朝に金魚死んだ。一日あったことを全部話しても足りず、沈黙の水はまたじわじわと染みてくる。
「ハツはいつも一気にしゃべるでしょ、それも聞いてる人間が聞き役に回ることしかできないような、自分の話ばかりを。そしたら聞いてる方は相槌しか打てないでしょ。一方的にしゃべるのをやめて、会話をしたら、沈黙なんてこないよ。もしきてもそれは自然な沈黙だから、全然焦らないし」

 絹代は諭すように語る。人間とのコミュニケーションの仕方を同い年の友達から習うというのは、それこそ耳をふさぎたくなるほど恥ずかしい。
「もういい」脱いだ上ばきをつかみ、体育館の出口に早足で向かった。

    *

●教材作品は読んでおいてください。
●課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の5日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)