大阪文学学校・中塚クラス 第2弾! 4/29(日)朝日新聞・朝刊2012/05/02 15:22

4/29(日)朝日新聞・朝刊
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●大阪文学学校は、6日(日)まで、クラスゼミ(組会)や公開講座はお休みです。
7日(月)・・・学生委員会
8日(火)・・・昼間部・夜間部クラスゼミ再開
12日(土)・・・公開講座/昼・文章講座(担当・佐久間慶子チューター)


(小原)

あしたから連休明け昼・夜間部組会がはじまります。2012/05/07 21:20

今夜は学生委員会がありました。出席12名。
『樹林』在校生作品特集号(12月号)の応募締切日や選考会の日程、7月15、16日(日、月)岡山県倉敷市で行う“文校・夏季合宿”などについて話し合われました。

●連休のあいだに、入学された方が二人ありました。
岡山県の昭和15年生まれの女性が通教部・エッセイ/ノンフィクションクラス、福島県の昭和4年生まれの女性が同・小説クラスに入られました。 福島県の方は、同県郡山市の通教生・Oさんの紹介です。
これで今春の新入生は84名になりました。

(小原)

5/13「 細見和之さん(三好達治賞)、大野直子さん(日本詩人クラブ新人賞)の受賞を祝う会 」2012/05/11 18:42

4/26読売新聞(夕)
細見さん、大野さんお二人の受賞を祝う会は、5月13日(日)午後1時より、大阪文学学校でおこなわれます。会費2,000円。
4/24の当“文校ブログ”に詳しい案内が出ています。

(小原)

昼・文章講座に60名2012/05/12 20:13

きょうは午後3時から、全校生および一般の方を対象にした公開講座の今春期1回目、昼・文章講座がありました。
講師は昼間部チューターの佐久間慶子さん。
15年ほど続いている文章講座、詩の連続講座では、おそらく今までで一番多い60名。多くの新入生に加え、福岡、香川、岡山、福井、愛知、埼玉などからも参加がありました。
北條民雄「いのちの初夜」などについての1時間の解説のあと、あらかじめ提出のあったハガキ1枚の「自分のつらい・悔しい体験」を場面で書く課題作品、全42編(当日プリントにして配布)を講評。
作品一つひとつに丁寧なアドバイスが加えられ、講座は予定時間を大幅にオーバーして7時50分過ぎに終了。最後まで残った人は半分ほど。
資料が盛りだくさんの佐久間チューターの講座、一度出たら次が待ち遠しくなります。まだ参加したことのない方、1度のぞいてみたら、どうでしょうか。

次回の公開講座は、28日(月)午後6時半からの夜・文章講座(担当/葉山郁生チューター)です。内容、課題等については『樹林』4月号(入学案内書)や「学習の手引き」、文校ホームページ等で確認してください。
課題作品未提出でも、講座には参加できます。

(小原)

きのう(13日)の「細見さん・大野さんの受賞を祝う会」に34名。2012/05/14 16:29

細見さん・大野さんの受賞を祝う会
きのう午後、文校で、山田兼士チューター、苗村吉昭チューター、在校生の山田吉郎さんなど5名の発起人が呼びかけた「受賞を祝う会」が3時間にわたっておこなわれました。
詩集『家族の午後』で三好達治賞の細見和之チューター、詩集『化け野』で日本詩人クラブ新人賞の大野直子さんそれぞれの受賞を、参加34名ほぼ全員のスピーチでお祝いしました。
金時鐘さん、中塚鞠子チューターのほか、関西一円はもとより愛知県、三重県、福井県などからも詩人の方々が参加されていました。現文校生は6名。

(小原)

夜・文章講座、第1回の例文。【再掲、追加有】2012/05/16 21:59

夜・文章講座
小説の基礎篇Ⅱ―原風景、文体と会話・語り
講師 葉山郁生(作家)

第1回 5月28日(月)午後6時30分~

●原風景を描く 原風景・イメージとは、幼少期中心に心象風景化しているような物や、人、風景のこと
●教材=梶井基次郎短編集(各種文庫)

    *    *

●課題=短文で上記の原風景を10例程度、箇条書きする

 梶井基次郎の短編小説は、小説を書いていく上で、視点の問題や、感性・イメージ表現などで、豊かな参考例となるものです。
 第一回目の課題として、原風景を箇条書きする、と案内しています。箇条書きもOKとした上で、数行にわたる文章となっている、次の文章9例を参考例とします。この例のような文章で書いていただいても結構です(原稿用紙二枚以上でもOK)。


「ビニールハウス」                           赤尾剛士
 冬夏問わず、家の裏に張られていたビニールハウスは暖房として、サウナとして何時も熱を保っていた。片隅に置かれた机には祖父の使う小さなはさみと、接ぎ木された植物が置かれる。使い古されたビニールには、幾つも穴が開き、時折鳥が迷い込んできては飛び回っていた。

「道」
 家から畑の横を通り、車道に至る道がある。ほんの五〇メートルほどの荒く舗装された道だ。土を被り、亀裂に沿って白く班目になったアスファルト。その両端は年を経る毎に少しずつ崩れ、記憶より明らかに短い。その所々に開いた穴には、家の中で拾ってこられた石が、これでもかとばかりに詰められていた。

「金魚」
 離れと母屋の間、盆栽とサボテンの鉢に囲まれた小さなため池。猫よけに張られた金網から覗くと、緑色の水と紅い金魚が見えた。私が小さかった頃に夜市で釣ってきた金魚たちは、毎朝祖父に餌を貰い生き延びていた。彼らにとって私は親とは言いがたいだろう。しかし、私は天寿を全うした彼らのうちの一匹が水底から浮かんでくる度、少しだけ悲しくなるのだ。

「コタツ」
 我が家のコタツは期間が長い。通例では一〇月の初めにリビングを占拠し、年末、バレンタイン、果てはゴールデンウィークまで居座り続ける。年によっては六月になってもまだ居る。昼間は片付けようと思うが、夜になると気温が下がり、コタツから抜け出せなくなるのだ。ついつい、家族揃って寝転んでいると「もうしばらく良いか……」という気になってしまうのだ。

「戸隠さん」
 ウチの神棚にある御札は二カ所合わせて四枚。そのうち一枚が、家の近くにある戸隠さんのものだ。普段は、散歩コースに入っているぐらいで、そこまで縁のあるところではない。この神社には、立派な鎮守の森が残っていて、夏になると虫が多く、涼しいところになる。その裏には、廃材置き場にしか見えない車の修理工場があり、とても怪しげなナンバープレートのない車を修理している。
 正月に行く度に、三〇円を財布からすっと抜いていくココの神様は、私にとって気の置けない友人である。

「客間」
 ウチの客間は寝室兼用。普段は蒲団を敷いて寝ている。それも、家族四人川の字で。最近では珍しい形にも思えるが、畳の上に敷く蒲団は格別で、下宿の軋むベッドにこりていた肩も随分とゆるむ。
 だいたい、一六畳ほどのこの空間は私にとって、出会いの場でもあった。初めてCDを聞いたのも、文庫本を手に取ったのも、アイロンをかけたのもココだった。しかし、この客間、お客さんが来ているのを小学校の家庭訪問以来見た記憶がない。

「上の池」
 我が家の田んぼに注ぐ水を上流に辿って行くと、池に出る。二〇数年未だに正式な名前を聞いたことのないこの池は「上の池」と呼ばれている。何もない、墓場にほど近い不気味な池で、昔はよく変な噂が立ったものだった。これ見よがしに、その池にはボールが浮いていたことを、薄ら寒い感覚とともに覚えている。
 今も、水を送り続けるこの池は、新しく建て替えられたフェンスに囲まれていた。

「月見台公園」
 大きな公園だった。二段式のグラウンドを持ち、私たちが遊ぶ傍ら、ゲートボールを行っている人たちを何度も見ていた。最後に行ったのはいつだっただろうか、その日のことはもう記憶にないけれど、土管の通った滑り台や、入りたくないトイレ、林に続く小道まで、今見てきたことのようにまだ私の心の中で蝉の声と共に思い起こすことが出来る。

「プール」
 温水プールの水は温く、酷く汚れていた。顔をつけるのも躊躇われるような酷いにおいが出ている日もあり、塩素で無理矢理消毒したせいか、シャワーをしっかり浴びてもその日は肌ががさがさになった。短水路にも関わらず、飛び込み台がついていて、飛び込む度に頭を打ち付けないかひやひやしていたものだ。


 以上は、原風景イメージ表現例です。この一つ目を使った短編小説(6枚程度)の一部を皆さんの今後の創作の参考に掲げます。


「倒木」                                赤尾剛士

 どさりと地面に落とされたトマトの果実は、皮が破れ目聡い蟻にたかられている。
 暑さのピークを僅かに過ぎた日曜日の午後三時半、興奮した祖父が私を呼びつけたのは畑の外れにあるビニールハウスだった。汚れたビニールで区切られた一〇平方ほどの空間は、立っているだけで汗を滲ませるのに十分な熱を保っていた。
 祖母と私、そして呼び出した祖父が入ればトマトの壁に遮られたハウス内はもういっぱいで、ますます熱が籠もっていくように感じられた。
「ひっどいことしよるな」
 支えを失って、地面に崩れ落ちたトマトの木を前に祖母は力なく呟く。その口から出たため息は怒りより、憂鬱に彩られていたと、私は思う。
「またや」
 引き上げたロープは途中で切られて、中に仕込まれたワイヤーが髭のように切り口から姿を覗かせている。一見しただけでは、人の手によるものなのか、自然に切れてしまったのか判断できなかった。
「写真、撮っとくな」
 私は、その場に留まりたくなかった。コンデジを取り出し、倒れた木の姿を何枚か撮影する。一枚撮る度に、一つ疑念が思い浮かんだ。
 なにしろ、その手に取ったロープは酷く土汚れしていて、とても新しいものには思えない。切り口も、あまりにも汚く、覆いのビニールは重さで引きちぎられたように見えた。トマトの木は二メートルほどもあり、それなりの重さを備えているようだった。
「よくもまあ、仕事増やしてくれよる」
 怒りのせいか、暑さのせいか祖父の声にはうなされるような響きが伴っていた。
 私の生まれる前から、何度もこういう悪戯があったとよく話していた祖父は、初めから人の手によるものだと決めてかかっていた。
 子供の頃には、元警官で頭の良い祖父が言うのだから、そうなのだと信じていたが年を経る毎に疑念は募っていった。果たして、いったい誰が二十数年に渡って小さな農家に嫌がらせを続けるというのだろうか。
「起こすん、手伝おうか」
 この家の男手は父に私と、腰の曲がった祖父ぐらいなものだ。祖父は「かまわん、かまわん」と手を振った。

 離れのリビングにいた母は、気怠げな顔をしていた。室内は影になっているが、それでも額には汗の跡が見えた。
 自分も手伝っている畑だが、その口からは煩わしいという色を帯びた言葉の他、ここ数年聞いたことがなかった。それでも、玄関に吊られた母のエプロンには、古い収穫用のはさみが挿してある。
「トマトが倒されたんやて」
「そうか」
 もう聞いていたのだろう。返事はそれだけだった。
「写真、印刷してくるから」
 それだけ言い、サンダルをひっかけて外へ出ようとした私に、母はキャップをかぶせた。
「あついからな、気ぃつけや」
 渡されたタオルを首に巻き、靴紐を結び直した。その動作を行う中でも、もう背中に汗が染み出しているのが、張り付くシャツの感覚で分かった。
「なんか、こうてくるモンあるか」
「あらへんけど、欲しいモンあったらこうてきいや」
 私は「ん」とだけ声を出すと、網戸を勢いよく閉めた。庭を挟んで向かいにある母屋からは、祖父母の声が聞こえた。
「いってきます」
 大きく出したつもりの声は蝉にかき消され、届かなかった。
 正門より、裏門から抜けたほうが、商店街には近い。通り過ぎた裏口の横、外に作られた洗い場に水の張られた金だらいと、そこに浮かぶ少し青いトマトが日差しに光っている。
 一番大きなトマトは、少し皮が裂けていた。

    *    *

●教材作品は読んでおいてください。
●課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の5日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)

新入生へのハガキ一枚の課題2012/05/17 21:34

今春の新入生は今のところ84名(夜30、昼23、通教31)。今週、昼間部・夜間部の新入生の皆さんには、以下のような案内チラシと所定の〈課題ハガキ〉を組会のとき配っています。通教部の新入生へは数日中に、チラシとハガキを郵送します。
健筆をふるってください。

    *

「新入生の皆さんへの課題」

次の六つのタイトルのうちからひとつを選び、所定のハガキに、
400字~600字ほどで書いて〈ワープロ・パソコン可〉
事務局まで送ってください。
冒頭にタイトル・氏名〈ペンネーム可〉・所属クラスを入れて、
できるだけ縦書きで。
締切は6月8日(金)必着とします。
提出作品は全て、文校の多くの皆さんの眼に
触れられるようにします。

・私のふるさと
・文学学校入学にあたって
・私を売り込みます
・私の歩んできた道
・私だけのもの
・最近強く思うこと

(小原)

巻頭に髙村薫さんの講演録――『樹林』春(5月)号が仕上がってきました!2012/05/18 19:22

『樹林』春(5月)号の目次ページ
上の【写真】は、『樹林』春(5月)号の目次ページです。
クリックすると、拡大されます。
巻頭に26ページにわたって、去年9月に大阪文学学校主催(共催・大阪市)で行われた文学講演会における髙村薫さんの講演録および質疑応答を収めています。
このブログをご覧の方で、購読希望の方は、文学学校事務局までご注文ください。定価800円です。

きょう、定期購読者75名、出版社・新聞社・図書館、お世話になっている各地の作家・詩人の方などには発送しました。 通教部生、休学生にも順次お届けします。
昼間部、夜間部の方はクラスゼミのとき、教室の机の上から取ってください。

(小原)

杉山平一さんご逝去。安らかなご冥福をお祈りいたします。2012/05/21 20:36

関西詩壇の重鎮、杉山平一さんが、19日午前、97歳の生涯を閉じられました。哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。
杉山平一先生には生前、大阪文学学校において、何度も熱心な講義をしていただくなど、学校活動にご尽力いただきました。
今日のお通夜に間に合うように、社団法人・大阪文学協会、大阪文学学校の名前の入った供花一対をお届けしました。
告別式は、明日(22日)午前11時30分から、兵庫県西宮市高畑町2の25 エテルノ西宮 で行われるそうです。
高畠寛代表理事、葉山郁生理事らとともに、ぼくも明日の告別式に参列するつもりです。

(小原)