第3回 夜・文章講座のご案内。2013/02/12 18:44

夜・文章講座
小説の基礎篇Ⅲ―小説とエッセイ・ノンフィクション・評論
講師 葉山郁生(作家)

第3回 2月25日(月)午後6時30分~

○現代社会の評論
現代社会の閉塞を広く考えてみたい

教材=河原宏「ドストエフスキーとマルクス」(彩流社)

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課題=一回目と二回目の内容をできるだけとりこんだ短編小説(原稿用紙5枚程度も可)

 今回のテーマや教材は幅広いものですが、あまり難しく考えないで、一回目と二回目の合作でいいです。二回目、出していただいた渡利真さんのノンフィクション的列挙文を参考に掲げます。ご自身ないし周辺の男女と家族の関係を二枚(ないし五枚)程度でスケッチしてください。


 渡利真「現代恋愛模様」

 30代後半の男性は結婚を必要としない人が少なくない。A子の息子は38歳で結婚した。いつも付き合う相手はいるのだが、結婚に踏み切れずだった。B子の息子は付き合う女性は多いが結婚をする気はない。娘たちにも、この世代の親は結婚のしばりをかけない。
 C子の息子は大学の同級生の彼女をよく家に連れてきた。朝起きると彼女が泊まっているのに出くわした。就職して半年、息子はC子に、「悲しいお知らせがあるのですぼくがこの家を出ていくからお母さん淋しくなります」と言って彼女と折半でアパートを借りた。結婚をする覚悟と金はない。取りあえず同居。C子は彼女が気に入っている。D子の23歳の息子はホテルのレシートを部屋に落としていた。彼女と二人の名があった。やがて関東で彼女と一緒に住む。食事は息子がほとんど作る。
 E子の三十過ぎの息子も結婚はしないけれど彼女を伴って東京へ移住した。劇団の仕事は収入が不安定で、結婚は頭にない。E子は、結婚しないのは構わないけどこどもは作らないようにと注意する。一人より、二人で居る方が親は安心だとD子もE子も思う。結婚にこだわらず、子が無理をしているなら離婚もOK、が今の親世代である。
 親世代自身はどうか。
 F子は30年続いたパートナーと自ら別れた。子はいない。直後から精神的に落ち込み、新しいパートナーを探した。仕事でも家事でもきわめて有能にこなす彼女は、自分のことだけでは飽き足らず、尽くす相手が欲しい。50を過ぎたらみんな結婚してるよね。誰かいい人紹介してくれない、などといっていたのに、二年もたたないうちに新しい恋人ができた。妻子のあることは気にしない。F子は生き生きしだした。パートナーの店を手伝い、昼間は他に通勤する。それでも疲れることなくすべてをこなしている。
 40代G子は出会い系を利用する。若い時の中絶で妊娠できない体になり結婚願望はない。きわめてオープンである。病院へ友人を見舞い、その帰りに友人の夫と。ビルの中で、関係をもっている出入りの業者が胸をツンツンとする。出会い系で会った男性とは直行で、しばらく恋人のように続く。相手は目まぐるしく変わる。体で付き合わない男性に安堵する。G子は父親を求めているのだ、という人もいる。
 H子は50代に入った。夫と離婚したあと二人の子を成人させる。そのあと、幼馴染みの妻子ある男性と付き合う。彼が帰ったあとの淋しさに耐えかね、別れよう、と何度もつぶやくが彼は承知しない。超人的な誠実さで、彼は家庭をもH子も大切にしていた。そこへH子の高校時代あこがれの彼が、妻を病気で失い独身で現れる。H子は揺れていたが、あこがれの彼とのゴールインが近付いてきた。彼女は離婚を二回経験している。一回目は納得で別れたので悔いはない。二回目は相手の不実に怒って別れたので、悔いが残る。どんな形であれ「結婚」を続けていたかったのだ。彼女は、安定に憧れる。
 F子、G子、H子、みな社会的に責任ある仕事をしている。

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・教材作品は読んでおいてください。
・課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の3日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)