夜・文章講座、第1回課題の例文。2010/11/02 20:21

夜・文章講座――ストーリーテリングを考えるⅡ/講師 葉山郁生(作家)
第1回 11月15日(月)午後6時30分~
●内容=幻想と物語
●教材=泉鏡花「草迷宮」(岩波文庫他)

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●課題=夢(の話)を描くエッセイ・小説の一節(一行あけて、夢と現実の二場面で書いてもよい)。

第一回目の夢(の話)を書く文章講座の例文として、安部公房『月が笑う』と島尾敏雄『夢日記』の文章の一部を掲げておきます。

「笑う月」  安部公房
 ぼくが経験した限りでは、どんなたのしい夢でも、たのしい現実には遠く及ばない反面、悪夢のほうは、むしろ現実の不安や恐怖を上まわる場合が多いような気がする。
 たとえば、何度も繰返して見た、いちばんなじみ深い夢は、ぼくの場合、笑う月に追いかけられる夢だ。最初はたしか、小学生の頃だったと思う。恐怖のあまり、しばらくは、夜になって睡らなければならないのが苦痛だったほどだ。正確な記憶はないが、半年か一年の間をおいて、周期的に笑う月の訪問をうけた。最後はたしか十年ほど前だったように思う。かれこれ三十年にわたって、笑う月におびやかされつづけた計算になる。
 そいつは、直径一メートル半ほどの、オレンジ色の満月で、地上三メートルばかりのところを、ただふわふわと追いかけてくる。「花王石鹸」の商標を正面から見たような顔が、くっきりと彫り込まれ、耳の後ろに届きそうなほど大きく裂けた薄い唇が、独特な非情さと脅迫めいた印象を与えている。そう言えば、何か音もたてていたっけ。今ふうに言えば、SF映画で使われる電子音に似た無機的なうなりだ。ぼくは見馴れぬ路地を逃げまどい、最後はなんとかわが家の玄関にたどり着いて、後ろ手にドアを閉めたとたん、ぐにゃりと隙間にはさまれた月の一部の嫌な感触が残る。そして目をさます。
 あの月の、何にそれほどおびやかされたのだろう。笑顔だろうか、うなり声だろうか、ドアの隙間でつぶれる感触だろうか。笑顔はたしかに不気味だった。考えてみると、「花王石鹸」の商標よりも、むしろトランプのジョーカーに似ていたかもしれない。それにしても、あの恐怖感に見合うほどの顔だったろうか。いや、むしろ追跡そのものが恐かったと考えるべきだろう。追跡の恐怖がまず先にあって、それが笑う月という形をとって現れたような気もする。単に怪物におびやかされるだけの夢なら、いつか見た、頭に何十本ものカサブタの角を生やした化物のほうが、はるかに生々しく迫力にみちていた。

「夢日記」  島尾敏雄
 狭い部屋。バッグのようなものから氷のかけらを出し、ビニール袋につめて富士さんに持たせる。一緒に行くつもりが出かけたのは別々。外に出ると病院の廊下のような所に氷の塊が入れてある(石灰のように)。あれを使ってもいいと思う。
 教員室、試験中なり。二、三のクラスだけ授業をしていて(試験のあいまを利用して)、その先生の名前が張り出してある。体操の教師の名。
 部屋に戻って待つ。寂しい。富士さん戻ってくる。ミホになっている。近所の子ども(小学前)来る。バッグの中の氷の効用を考える。その子どもを追って外に出る。ミホ泳いでいる。落日に映え、美しい海の色。写真をとっておこうと思う。とろうとすると映えた笑顔が消える。へんな犬が舌を出す。番犬? その舌の作用がにぶる。落日の映えがどんどん移動する。犬の舌を引っぱると抜けてしまう。うしろにまわってみると、財布の中のようにかみ合わせてある。きれいに整理してもう一度前のように舌を口から前に引っぱって出す。
 小さな車室。窓から風はいり寒い。中学生ひとり乗っていて、女車掌(高校生のよう)に寒いと言うと、下の方のフックを引っかける。空隙が無くなり寒くなくなる。前方の入り口の上の窓のフックをかけて手伝う。腕の下の女のやわらかな感じ。

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●教材作品は読んでおいてください。
●課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の3日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)

『樹林』在特(12月)号2010/11/05 18:08

樹林12月号
通教部の皆さん、休学生の皆さん、『樹林』在特(12月)号はとどいていますか。
昼間部、夜間部生は、教室のテーブルの上に積んで置きますので、1冊ずつ持ち帰ってください。

『樹林』在校生作品特集号は、文校の学生たちの手によって、作品の募集から、選考、編集までおこなわれ、『樹林』の1冊として年2回発行されています。
今回の号には、詩4編、エッセイ1編、小説4編の在校生作品が収められています。各選考委員の選考評なども含めて総178ページ。

在特号は『樹林』の12月号(vol551)で、編集の都合で11月号(本誌・秋号/vol550)より早めの発行になりました。ご了解ください。

学生委員会在特部主催の在特号の合評会は、11月14日(日)です。午後2時から、文校教室で。掲載作者、選考委員はむろんのこと、在校生や新入生も気軽に参加してください。

(小原)

6日(土)昼・文章講座に43名参加。2010/11/07 02:21

いま、真夜中。『樹林』秋(11月)号の表紙回りや埋め草などの最後の詰めの編集を終えたところです。
きのう昼の文章講座(佐久間慶子チューター担当)には、多数の新入生を含め43名の参加がありました。課題作品の提出者も24名(うち23名が出席)と多く、3時開始で、終了は6時15分でした。
次回の昼・文章講座は、2月12日(土)。資料が盛りだくさん(今回はマンガもありました!)の佐久間チューターの講座、一度出たら次が待ち遠しくなります。

今度の土曜日・13日の公開講座は、金時鐘さんの昼・詩の連続講座です。課題作品は、一般の方やOBも含め30名から事務局にとどきました。そのうち13日に批評してもらう11名の詩作品を、金時鐘さんにはお送りしました。
作品未提出の方も、講座には参加できます。

(小原)

秋期第2回学生委員会2010/11/08 20:45

文学散歩
2回目の学生委員会が開かれました。
1回目のときは参加していなかった人の参加がありました。
隔週月曜の夜に開かれている学生委員会、いつからでも参加OKです。学生委員会が主催する12月文学集会には例年、昼・夜間部各クラスから模擬店や出し物が出されていますが、その情報をつかむためにも、まだ学生委員のいないクラスは委員を出してください。

10月31日(日)に、学生委員会主催でもたれた新入生歓迎文学散歩“奈良・山の辺の道を歩く”には、時折雨の降るなか、20名の参加があったそうです。大阪に戻って上本町でもった懇親会参加者も含めると、この日の参加者はのべ25名。
【写真】は、“山の辺の道”の道中に建てられていた歌碑に見入る文学学校生。

(小原)

昼・詩の連続講座。2010/11/13 18:12

昼・詩の連続講座
きょうは午後3時から金時鐘さんの昼・詩の連続講座【写真】。出席34名。
今回のテキストは11編。5時すぎまで時間をかけてたっぷり講評していただきました。厳粛かつ和やかな雰囲気で、出席した皆さんとのやりとりでは笑いも起きていました。
出席者のなかには北海道から来られた一般の方も。
じつはこの中野さん、文校周辺の同人誌を調べるため、おとといの木曜から文校に3日間、通って来られています。来週も来られるかもしれません。お役に立てれば嬉しいですね。
さて事務局長は火曜日から扁桃腺を腫らして休んでいます。週明けには復帰の模様。(銅)

通教生の皆さんへ・・・質問対話用紙を活用しよう。2010/11/16 22:42

風邪から扁桃腺をはらし、先週火曜日からずっと休ませてもらっていました。
ものが咽喉を通過するとき飛び跳ねるほど痛くて痛くて、食べ物はむろんのこと、水分もとれない状態でした。最初の3日間で5キロやせてしまい、病院で日に2度点滴を受けたこともありました。
体重が2,5キロもどり(どうせなら、もどらないほうがいいのですが)、昨日(月)から復帰しています。

通教生の多くの皆さんへは、昨日、今日と各担当チューターの「批評文」とともに、第1回提出作品を返却しています。以前に返却済みのクラスもいくつかありましたが。
チューターから事務局に「批評文」が届いていないのは、あと数クラスです。そのクラスは、もう少しまってください。
写真にあるように、「質問対話用紙」には、各チューターはかなり詳しく返事を書いてくれます。活用しない手はないと思いますよ。
作品提出のときばかりではなく(その時は書いている途中で苦労した点など)、「批評文」が返却された直後もだすことができます。チューターの批評に関してもっと突っこんでアドバイスを求めることができます。

12月12日(日)の秋期第1回スクーリングにあわせて、プレ・スクーリングも開かれます。参加希望者は、今回返却された提出作品を事務局へ届けてください。チューターの添削や書き込みのないものをお願いします。

(小原)

11月27日(土)・小野賞贈呈式のご案内2010/11/18 22:32

大阪文学学校の運営母体である社団法人・大阪文学協会は一九九九年春、関西はもとより各地から各界二十名の創設発起人の方々のご賛同とご協力、大阪府と大阪市の後援、朝日新聞社の共催をいただいて、小野十三郎賞を創設しました。05年度からは桃谷容子基金からの後援をいただくことができました。

7月10日をもって締め切った、今年度の第12回小野十三郎賞には、全国各地から、詩集、詩評論書あわせて136冊をお寄せいただきました。
八名の予備選考委員(川上明日夫、木澤豊、冨上芳秀、中塚鞠子、長谷川龍生、細見和之、松本衆司、山田兼士)のもと、二次にわたる予備選考を慎重にすすめました。そのうえで、9月25日午後1時から大阪市内において、金時鐘、倉橋健一、小池昌代、辻井喬、坪内稔典の五委員の出席のもとに、最終選考会を開きました。
最終候補14冊について三時間におよぶ討議の結果、第12回小野十三郎賞は三井喬子さん(石川県金沢市)の詩集『青天の向こうがわ』(思潮社)に決まりました。さらに、季村敏夫さん(兵庫県神戸市)の詩評論書『山上の蜘蛛』(みずのわ出版)に特別賞を授与することになりました。

第12回贈呈式を、以下のような式次第で、きたる11月27日(土)午後1時30分より大阪市中央区谷町7丁目の大阪文学学校にて開催します。
お忙しいと存じますが、皆様のご参席を心よりお待ち申しあげます。

社団法人・大阪文学協会〈小野十三郎賞実行委員会〉
代表・長谷川龍生 

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第12 回小野十三郎賞 贈呈式

主催・社団法人大阪文学協会〈小野十三郎賞実行委員会〉
共催・朝日新聞社 
後援・大阪府/大阪市/桃谷容子基金

◆日時◆ 11月27日(土)
     午後1:30~6:00
      〈受付は午後1:00~〉
◆場所◆ 大阪文学学校
◆会費◆ 無料
      〈第三部の出席は三千円〉


〈式次第〉

《第一部》贈呈式……(一時三十分~ )
一、開会挨拶
一、選考委員紹介
一、選考経過報告
一、第12 回小野十三郎賞 授与
    三井喬子 『青天の向こうがわ』
 
   第12 回小野十三郎賞特別賞 授与
    季村敏夫 『山上の蜘蛛』

一、受賞者挨拶
一、主催・大阪文学協会挨拶
一、共催・朝日新聞社挨拶
一、後援団体挨拶

《第二部》……(二時三十分~ )
○公開インタビュー
   辻井喬「私にとっての小説と詩」
    インタビュアー 葉山郁生・細見和之
○対談 小池昌代×山田兼士
    「小野賞選考委員にくわわって」

《第三部》懇親パーティー……(四時三十分~ )
  地下鉄谷町6丁目駅上、レストラン『門』にて
一、団体/来賓挨拶
一、乾杯
一、懇談
一、閉会の辞

合同クラスで『樹林』合評会2010/11/19 17:19

合同合評
今週の昼間部、夜間部クラスは、合同で『樹林』合評会をおこなっています。
【写真】は昼間の佐久間・奧野合同クラスの合評会。25名出席。取り上げた小説は、『樹林』11月(秋)号収載の仲谷史子「初心者の恋」。11月号はまだ製本されていず、事前にゲラを配布してありました。
ほかの日や時間帯には、主に『樹林』在特号(12月号)に掲載されている作品をとりあげています。
合同クラスということで、他のクラス生の意見も聞け、知り合ういい機会になっています。

このように、『樹林』の在特号や本誌“秀作の樹・個性の花”欄などに作品が載れば、ほかのクラスの人たちにも合評してもらえる機会があります。『樹林』に作品が載るよう、がんばって書いてください。

(小原)

37年間の悲願達成! 3階にエレベーター貫通!2010/11/20 22:13

エレベーター
わたしたちの大阪文学学校がはいっている新谷町第1ビルは、1~3階部分が店舗・事務所階、4~9階部分が住居階になっています。このビルが建ってしばらくの1973年に文学学校は移転してきています。
今まで、2階と3階にはエレベーターは停まらない仕組になっていました。というか、エレベーターの乗り場の穴がそもそもありませんでした。
エレベーターの耐用年数がきているということで、第1ビル管理組合(ぼくも理事の一人)は、2千数百万円かけて、改修工事をおこなうことになりました。その際、2階、3階にも停まるようにしようということになりました。
改修工事は10月15日に始まり、完了が昨日(11/19)と告知されていました。
昨日昼から、もう乗れるようになっているかもしれないと、何度も3階のエレベーターの前に行ってみました。6時20分ごろ、乗れるようになりましたという旨の貼り紙がでていたので、わがクラスの新入生、齋藤寛倫くん(24歳・栃木県鹿沼市出身)を教室から呼んで、新エレベーター搭乗(?)の文校生第1号になってもらいました。記念にと、しかと【写真】におさめました。
……と、1階から上がってきたカゴの中にはいる齋藤くんと入れ違いに、ぬっと見知りの女性が出てくるではありませんか。あっあっ、河崎里佳さん(尼子クラス)。ということは、37年間の悲願のこもった、歴史的な文校生搭乗第1号は、タッチの差で河崎さんということになるのでしょうか。若いのに。

それにしても、長い工事期間でした。その期間、住居階のお年寄りや幼児は階段で昇り降りをしいられ大変だったと思います。
文校でも、エレベーター設置箇所と教室が近いだけに、2階、3階の出入り口のハツリの日など、ガッガッガッというすさまじい騒音で、幾度となくクラスゼミを中断させられました。騒音に対抗するかのように、教室にマイクを持ち込んだクラスもありました。

事務局も、エレベーターが3階に停まるようになって大助かりです。
昨日仕上がってきた『樹林』11月(秋)号を袋詰めしたもの566通を、今日、郵便局に教室まで取りに来てもらったのですが、エレベーターの停まらない今までだと、ビル1階の出口まで自分たちで運ばなければならなかったのです。料金のうんと安い第3種には、できるだけ郵便局に負担をかけないようにという宿命があるのです。そういえば、1階まで来てくれることのなかった10年程前までは、ナンバの南郵便局まで自転車で何往復もしたり、リヤカーで運んだりしたこともありました。
『樹林』の印刷屋さん、わら半紙やコピー紙の納入業者さん、宅配便屋さんなども喜んでくれると思います。

通教部・木澤クラスの加納由将さんにも、朗報でしょう。
加納さんは、文校から少し離れた会場でのスクーリング合評会には毎回参加しているのですが、電動車イスを手放せないためこれまで、教室での合評会前の長谷川校長の講義や、合評会後の交流会への参加は諦めていたようなのです。こんどの12月スクーリングのときは、ぜひ全行程参加してください。

さいごに、お願いです。
年齢に関係なく、足腰のしゃんとした人は、今までどおり階段を使ってください。ビル建設時、何故2階、3階に停まらないようにしたかというと、4階以上の住居階の人たちがスムーズに昇り降りできるようにということだったと思うのです。これからも、住居階の人々への配慮を。

それから、タバコはM4(3階と4階のあいだ)で吸ってください。M4にもエレベーターは停まりますし、広いスペースと吸殻入れのカンカンがあります。

(小原)

11月27日(土)・小野十三郎賞贈呈式2010/11/24 19:32

11月27日(土)、第12回小野十三郎賞の贈呈式を、大阪文学学校で午後1時30分から行ないます。主催/大阪文学協会、共催/朝日新聞社。

当日の第1部では、選考経過報告のあと、三井喬子さん(小野賞、金沢市)、季村敏夫さん(特別賞、神戸市)お二人へ賞の授与が行なわれます。

第2部の前半は、小野賞選考委員でもある辻井喬さんへの公開インタビューがおこなわれます。題して「私にとっての小説と詩」。聞き手は、文校チューターの葉山郁生さんと細見和之さん。
第2部後半は、東京在住の詩人・小池昌代さんと文校チューター・山田兼士さんの対談「小野賞の選考委員にくわわって」です。

第3部の懇親パーティーは、場所を代えて、すぐ近くのレストラン“門”でおこないます。第1部、2部は無料ですが、こちら第3部の参加費は3千円です。

小野賞贈呈式は、単なるセレモニーの場ではなく、書くことや文学への刺激を受ける場でもあります。
秋の新入生、そして在校生の皆さん、ぜひ参加してみてください。
一般の方の参加も歓迎します。

(小原)