通教部10年春期第1回スクーリング。2010/06/27 19:32

スクーリング交流会
午前中のプレ・スクーリングを終え、午後0時半からは本番のスクーリング。出席者87名。
まず校長の講義。世相の裏を読む面白い講義でした。
そのあとは各クラスに分かれて合評会。真剣かつ和やかなクラスの雰囲気に、3時間半もあっという間。
そして写真は、合評会を終えて交流会。なお盛り上がっています。
みなさん、遠いところ、おつかれさまでした。

さて今期2回目の締切が、6日後の7月3日(土)。スクーリングの余韻にひたりつつ、作品を仕上げてください。(銅)

夜・文章講座について。2010/06/28 21:21

きょう、今期2回めの夜・文章講座に参加者21名、課題作品の提出者は6名でした。

葉山チューターの次回(第3回)の夜・文章講座は、7月26日(月)午後6時30分からです。
内容、教材、そして課題の例文等について、下記にご案内します。

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●内容=企業・社会小説に向かう
●教材=北川荘平「青い墓標」(構想社『青い墓標』から)
*教材のコピーを文校事務局に用意していますので、クラスゼミの時などに手に入れて下さい。送付を希望の人は郵便代をご負担下さい。

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●課題=私の外の社会を人間関係の三角形で描くエッセイや小説の一節

 第三課題の例文を示します。一行あけごとに社会での居場所が移動し、人間関係の三角形が進展していきます。

 フライミートゥーザムーンを高らかに    渡利 真

 スミレ保育園の朝。香世が入っていくと子どもたちが駆け寄って来た。うれしい一瞬だ。自分たちがしている遊びを先生に見てもらいたくてたまらない。着替えてTシャツとジャージになると、相棒の初代先生が声をかけた。「香世先生、今日は台風が来そうだからお散歩は無理ですね」出勤の車中ラジオでもしきりに予報を流していた。空の雲も重い。「うーん、どうかなあ。散歩は子どもたちに大切だもの。ちょっと待ってね」香世はケータイで天気予報を調べる。確かに来ているが散歩の時刻には遙か南を通るはずだ。ぎりぎりまで待って進路が予測できると「行くよー」と子どもたちに声をかけた。またたく間に全員リュックを背負い、園庭に走っていく。「三歳児を。無謀だ、何考えてるンだろう」という声が、他の保育室の中から洩れてくる。怪我のないように、と子どもを囲い込むのは年配の保育士だけとは限らない。香世はちゃんと計画的なのである。常に走って子どもたちの先を行き、安全を確かめ「それっ」と気合をかけて進んでいく。自由にされている子どもたちは大人への信頼がある。給食前には誰一人怪我することなく帰って来た。「お帰り。台風はそれたみたいね」香世に一目置く所長も、ホッとしたように事務所から顔を出した。

 木曜日は保育所の早出だったので、午後五時半には家に着いた。車を置きマンションから歩いて駅前に出かける。一筋入ったところは昔からの商店街、とはいってもご多分にもれず大寂れだ。樋を共用している軒を重ねたような店が続き、道へはみ出したハンコケースの隣がマスターのジャズ喫茶だった。毎木曜には、先に店を開けるのが香世の役目。かすかに埃っぽい室内を軽く掃除し、カウンター周りを拭き、お湯を沸かしておく。ライブハウス、と言っても客席は片方の壁側のみ。演奏者との距離はほとんどない。いつも常連ばかりでもうからない上にマスターはお金にはまったく疎い。香世はトランペット吹きのマスターと一緒にいられればそれでよい。知り合った二年前は、彼は前々回の妻と離婚訴訟の最中だった。今の妻とも別れるつもりだが、その前の分が片づいていないのである。それもこれも優しい彼が凄腕の女に引っかかるせいだ、と香世は理解する。自分もジャズソングを習い始めた。見ると、ショーウインドウのようにギターを飾った窓から中を覗き込んでいる二人連れがいる。カウンターを出て、重い木のドアを開けた。「もう開店しています、よかったらどうぞ」化粧気無く、目鼻立ちがくっきりとした香世は、美人といえる。かいがいしく注文のコーヒーを淹れた。ライブの日ではないが、ピアニストのけいちゃんが来た。「あのう、歌ってもらえるんですか?」えっ、私人前で歌うの初めてだけど。客に促されて香世は習いたての「フライミートゥーザムーン」を歌った。悪くないな。

 日曜日、香世と万里はデパートの喫茶室で落ち合う。「へーえ。マイセンの喫茶店ねぇ。さすがにお茶一杯が高いねぇ」「おや、高級志向の香世様が何をおっしゃる」「それは昔の話。私は今お金を貯めてンの。店も改造して明るくしたい。私が店を仕切るようになってから売り上げがグンと伸びたのよ。あの素晴らしいペットに、もうひと花咲かせたいの」若者ばかりのライブの時、マスターは堪らなくなってペットを持ち一条の光のようにセッションの中に入り込む。やかましいだけの音楽がしっとりとし始める。一時はたいしたものだったらしい。「保育士と二足の草鞋じゃ体壊すよ」「店なんて利益はほとんど無いんだもン。仕事やめるわけにはいかないよ」尽くす人が無いと生きがいを持てないのは前の彼の時と同じだぞ。音楽に純粋で優しくカヨさん、と呼ぶボーっとしたマスターをみていると、それで良いのだとも思う。でもねぇ。オクサンのことはっきりしろよね。香世自身はそんなこと気にもしてないが。偏頭痛を起こしては職場で倒れる彼女への心配は尽きない。

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●教材作品は読んでおいてください。
●課題作(原稿用紙2枚《ワープロの場合、A4用紙をヨコにしてタテ書き印字》)を、講座日の3日前までに、担当講師宅へ郵送のこと。提出作品はコピーして、皆で読みあいます。(一般の方などで講師宅の住所がわからない場合は、事務局まで問い合わせてください)

通教部提出作品の締切は7月3日(土)。2010/06/30 18:21

通教部の春期第2回提出作品は今日、郵送で7名からとどきました。
届先の文校の住所とともに、封筒おもてに記入されていた文字は次のようなものでした。( )内は、通教生の居住地。
①原稿在中 (大阪市)
②通教部作品在中 (京都市)
③通教部作品提出 (さいたま市)
④通教部10年春期第2回提出作品在中 (西宮市)
⑤通信教育部第2回提出作品在中 (川西市)
⑥春期第2回締切 (岐阜市)
⑦《無記入》 (川西市)
というふうに、7名それぞれが違う書き方になっていました。

さて皆さん、文校事務局が6月スクーリング“案内チラシ”でお願いしていた書き方はどれでしょう?
上のように並べてみると、よく分かりますね。
答えは、いちばん長ったらしい④です。
⑤と⑥はOKとしましょう。
②、③はどうかというと、通教部生が出す作品は年4回の担当チューターにみてもらう作品に限りませんから(ほかに、読書ノート、在特号や文校賞への応募、学生新聞あての原稿などあり)、若干まぎらわしいです。
①、⑦はダメ出しですね。
また“案内チラシ”には、朱書してください、とお願いしてあったのですが、これを実地に移してくれていたのは④のみでした。目立つように朱書をお願いしているのです。

なんでそんなことに目くじらを立てるのか、ささいなことじゃないのか、と思われる向きがあるかもしれません。
たしかに封筒を開けてみれば、7名とも所定の“通信教育部・作品提出用紙”をちゃんと添付してあり、第2回提出作品であることは一目瞭然でした。(たまにですが、添付も書き込みもなくて何の原稿かさっぱり分からず電話で問い合わせることがあります)
文学学校は550名をこえる大所帯。その学生たちからとどく、もろもろの原稿や作品の入った郵便物は毎日、たいへんな量なのです。それ以外にも、同人誌や入学希望者の問い合わせなどがとどきます。
それらの郵便物はいったん、封を切らずに、表書をたよりに引き出しや紙袋に仕分けします。そのときに、表書があやふやだと仕分けにてこずるのです。
どうか、以上のような事情を汲みとってください。

心血を注いで書き上げた原稿、それを入れる封筒も大事にしてください。

(小原)